十数年前、飛行機で九州から東京に帰るときのことです。
窓から下の方を眺めると、山や河の景色は何も見えません。
見えたのは、白い雲だけです。
ぼんやりと雲を見ていると、小さい黒いものが見えます。
何だろうと思って、よく見てみると、だんだんと大きくなり、
三角形をしているのが分かるようになり、やがて何か分かるようになりました。
雲の上に見えたのは富士山です。
アルプスや八ヶ岳は雲に隠れて見えません。
白い雲の上にただ一峰、姿を見せた富士山。
暫らくの間見とれていました。
多分、このときから私も富士山信仰の信徒の一員になったのだと思います。
一人で、富士山を眺めに、河口湖に行ったり、富士山の見える山に登ったり、
写真を撮ったりするようになりました。
2003年からは、一年間に撮った富士山の写真のなかで、
一番気に入った富士山の写真を、海外に送るクリスマス・カードに使っています。
2007年からデジタルカメラで撮影をするようになり、撮った富士山の写真を、
このホームページのヘッダー画像として使用しています。
2008年には、富士山登山にチャレンジしました。
富士山には、噴火口の周りに八つの頂上があります。
その八つのうち一番高い頂上が日本で一番高い地点、高度3776mの剣が峰です。
胸突き八丁と呼ばれている、息ができなくなるような、頂上直下の急な登り。
少し休んだだけで、真夏なのに寒くて震えていた、噴火口を一周するお鉢巡り。
下山時、急な下り斜面で膝が痛くなり、何回も、何回も休みながら下りた砂走り。
今、富士山を見ると、富士山に登ったときのことを思い出します。
富士山の頂上に立って、流れている雲を見下ろしたときには、
仙人にでもなった気がしました。
登山技術や体力のない私が、日本一の富士山の剣が峰によく登れたと感心します。
富士山をじっと見ていると、頂上に立っている、小さな自分の姿が見えるようです。
始まりは、飛行機から見た雲の上の富士山です。
いつかは、雲の上の富士山を写真に撮って、このホームページに載せたいと思っています。
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